20 10月

シンポジウム「派遣労働者の待遇改善をめざして」の報告

改正労働者派遣法の施行日である10月1日、NPO派遣労働ネットワークが主催した「派遣シンポジウム 派遣労働者の待遇改善をめざして」が東京・千代田区の連合会館で開かれた。パネリストは中央大学法学部教授の毛塚勝利さん、前ILO理事の中嶋滋さん、派遣ユニオン書記長の関根秀一郎さん、コーディネータは弁護士で派遣ネット理事長の中野麻美さんがつとめた。
国会提出から3年がかりで実現した労働者派遣法の改正。しかし、国会での審議で大幅な修正が行われた。改正法の施行によって派遣労働はどのように変わるのか、また今後の課題について、シンポジウムを行った。
冒頭では、社会民主党の福島みずほ党首があいさつ。日雇い派遣禁止を直接雇用に誘導するよう厚生労働省に働きかけていくことなどを表明した。
シンポジウムでは、初めにコーディネータの中野さんが、労働者派遣法の改正点について解説。あらためて、改正のポイントを整理した。その後は、まず関根さんが日雇い派遣禁止について、従来通りと答える派遣会社もあるが、「日々紹介」(毎日、有料職業紹介を行うとする取扱い)に移行するなどの問題点があると指摘した。
中嶋さんは、いよぎんスタッフ事件に際して全国ユニオンが行ったILOに対する申し立てについて、日本政府に対して本年中の報告の提出を求めたこと、勧告事項について条約勧告適用専門委員会にフォローアップを委任したこと、は大変意義が大きいと説明した。
毛塚さんは、世界最大の金属産別の労働組合であるドイツのGIメタルが今年5月に派遣労働者の受け入れと、賃金について業界団体と労働協約を結んだことを報告。有期労働者や派遣労働者の問題に対して、企業内の正規労働者がどう取り組んでいくかが重要と指摘。ドイツの事例は日本でも派遣先の企業内組合が派遣労働者の投入や労働条件の確保に関わる必要性を示している、などと語った。
会場発言では、東京ユニオンで派遣先への直接雇用を求める闘いを開始した仲間も現状を報告。「骨抜き」などといわれる労働者派遣法だが、その実効性を確保し、次のステップである登録型派遣の禁止につなげていくことの必要性をあらためて感じたシンポジウムとなった。 (関口)

05 9月

派遣シンポジウム(主催:NPO法人派遣労働ネットワーク)

10月1日改正労働者派遣法施行!
派遣労働者の待遇改善をめざして

国会提出から3年がかりで実現した派遣法改正。しかし、国会での審議で大幅な修正が行われてしまいました。
改正法の施行によって派遣労働はどのように変わるのか、また今後の課題について、改正法の施行日である10月1日に、派遣労働ネットワーク主催でシンポジウムを行います。
参加ご希望の方は、チラシを印刷の上、ファクシミリで申し込みください。

派遣シンポチラシ(PDF)(20121001.pdf)

16 6月

第25回「派遣トラブルホットライン」のお知らせ

NPO法人派遣労働ネットワーク(以下「派遣ネット」)は、以下の日程と電話番号で第25回目となる「派遣トラブルホットライン」を開催します。
派遣ネットが実施した「派遣スタッフアンケート」の集計結果をみますと、前回(2008年)の調査に比べ時給水準の高い東京の回答者の割合が多いことなどもあり、平均時給は1,288.5円から1310.6円に若干上昇しています。しかし、中央値でみると先月の月収では19万3639円から18万9535円に、昨年の年収では230万8251円から 224万6522円に減少しています。
このように一部のデータでは、派遣労働者の時給はわずかながらでも上昇傾向にあるとも言われていますが、現場で働いている派遣労働者には実感がもてていません。
さらに、契約期間も6.20カ月から4.86カ月(※無効を除く)となり、3カ月未満の契約の割合も40.3%から43.0%に増加、細切れ化が進んでいます。
労働者派遣法の改正案は成立し、現在、改正法のスタートに向けて、法律内容の詳細が話し合われています。今後、派遣労働者のための労働者派遣法を実現していくために、さらに運動を進めていく必要があります。
当日は、全国ユニオンのスタッフなどが相談に対応します。
困っていることがあったら、ひとりで悩まずに是非この機会にお電話をください!

実施期間:7月7日(土)~8日(日)
電話番号:050-5808-9835
29 2月

労働者の使い捨てを許すな!有期労働法制の実現にむけた2.24集会(報告)

ご案内をさせていただいた「労働者の使い捨てを許すな! 有期労働法制の実現に向けた2.24集会」は、約150名が参加しました。
この日の司会は、全国ユニオン副会長の鈴木さん(東京管理職ユニオン)。まず、主催者を代表して全日建・小谷野書記長が「労働者の使い捨てを許さない有期労働契約法制の実現へ向けてがんばろう」と宣言しました。続いて基調解説として、棗弁護士が現時点で分かっている範囲内で、具体的な例を挙げて解説を行いました。また、労働基準監督官らでつくる全労働省労働組合森崎委員長は、労働行政の現場から「有期法制で低労働条件の正当化を許してはならない。入口規制が絶対必要」と訴えました。
続いて現場から、それぞれ以下のような報告がありました。

<武庫川ユニオン>
兵庫県の武庫川ユニオンから「日本郵便非正規ユニオン」の福本委員長らが、この日のために上京。非正規で働くことの残酷さと現実を切々と訴え、共感を呼びました。

<全労金>
石田委員長は「すべての労金に働く労働者の処遇改善」をテーマに非常勤や派遣労働者を組織化し、戦略方針を策定し、着実に「無期」雇用化し処遇改善の実をあげていることを報告しました。

<NPO官製ワーキングプア研究会>
白石代表(前荒川区職労書記長)は、公務非正規が60万人を超え、同じ仕事にもかかわらず半分以下の賃金、細切れ雇用の実態と改善を訴えました。

<JR東労組>
大沼中央執行委員は、グリーンスタッフと呼ばれるJR東日本の非正規労働者を70%以上組織化し闘っている現状報告として「この3月末に200人の仲間が雇止めされようとしている。契約期間は5年上限で正社員登用の試験はあるが、会社は2割しか合格させない。団体交渉と社会的キャンペーンで闘っている」と説明しました。

<派遣ユニオン>
KDDIエボルバユニオンとして裁判闘争、国際オペレータ通話の廃止撤回を闘っている見留洋子委員長が「重要な仕事を非正規で使いまわす無責任社会を許してはならない。有期雇用労働者の権利確立にともに闘おう」と訴えました。

集会の締めは鴨桃代全国ユニオン会長。法案の内容がまとまる2月29日に緊急に行う厚生労働省前でのアピール行動への参加とともに、力を合わせてよりよい有期労働契約法制の実現を訴えました。
なお、集会の冒頭には衆議院議員工藤仁美さん(民主党)が参加し、長年札幌パートユニオンで闘ってきたことを生かし、国政の場で有期法制が実効あるものにするため頑張る、と決意表明を行いました。また、いつも参加する福島みずほ参議院議員は社民党大会のため参加できず「ともに頑張る」とエールがありました。

23 1月

労働者の使い捨てを許すな!有期労働法制の実現にむけた2.24集会

昨年末、労働政策審議会労働条件分科会から「有期労働契約の在り方について」が報告されました。この建議に基づき、通常国会に法案が提出される予定になっています。
私たちは、これまで法制化に向けて①合理的な理由のない有期労働契約の禁止、②法律を逸脱した場合の無期雇用みなし規定の創設、③均等待遇の実現、④雇い止め法規制の確立を求めてきました。残念ながら、出された建議は、合理的な理由がない場合に締結できない仕組み(入口規制)が入らないなど、求めてきた内容からすれば大変不十分です。
働く者の使い捨てをなくすために、実効性のある有期労働契約法の実現を求め、集会を下記の要綱で行います。

「労働者の使い捨てを許すな!有期労働法制の実現にむけた2.24集会」
日時:2012年2月24日(金)19:00
場所:全水道会館
資料代:500円

●基調報告 棗弁護士からの解説
●労働行政の現場から 全労働省労働組合
●実例について質疑
●現場からの報告

≪主催≫
「労働者の使い捨てを許すな!有期労働法制の実現にむけた2.24集会」実行委員会

≪事務局≫
全国ユニオン
住所:東京都渋谷区代々木4-29-4
西新宿ミノシマビル2F
電話:03-5371-5202
FAX:03-5371-5172

ちらし(20120224.pdf)

11 1月

確定申告・還付申告 税金学習会

派遣労働者の交通費だけに課税するのは不公平です

確定申告・還付申告 税金学習会
2月3日(金)午後7時より ユニオン運動センター会議室

派遣労働者の多くは、通勤交通費が支給されていません。しかし、通勤するための交通費は、毎月の賃金の中から実際に支払っています。
通勤交通費は、賃金の中に“手当”などとして区分されていると非課税なのですが、派遣労働者の場合、この区分がなされていないという理由だけで、通勤交通費部分に対しても所得税・住民税の税金が課税されています。
派遣労働ネットワーク、東京ユニオンでは、この不公平な課税を改善するため、派遣会社に通勤交通費証明書を発行してもらい、税務署に税金の還付を求める運動に取り組んでいます。

ちらし(20120203.pdf)

22 11月

派遣法改正法案の修正に関する声明

派遣切りを繰り返さない派遣法改正を!

 

2011年11月21日
格差是正と派遣法改正を実現する連絡会
全国ユニオン
全日建
派遣労働ネットワーク
ガテン系連帯

いつでも派遣切りできる制度を維持しようとする自民党、公明党の修正要求に基づき、政府が提出した労働者派遣法改正法案が大幅に修正されようとしている。
リーマンショックを契機とする大量の派遣切りは、たくさんの派遣労働者の仕事と住まいを奪い、命の危機にさらした。こんな派遣切りを二度と繰り返してはならないという声に答えて、2010年4月、派遣切りの舞台となった登録型派遣、製造派遣を原則禁止する派遣法改正法案が国会に上程された。しかし、改正派遣法案は1年半にわたって放置された。その結果、2010年秋には製造現場で働く派遣労働者が再び増加し、東日本大震災を契機に第二次派遣切りが起こってしまった。
にもかかわらず、今回の修正は、登録型派遣、製造派遣の原則禁止を削除しようとしている。これまで起こされた悲惨な状態になんらの反省もなく、まさに今後も派遣切りを繰り返そうとするものに他ならない。
国会に上程されている派遣法改正法案は、以下を柱とするものである。
1、登録型派遣、製造派遣の原則禁止
2、違法派遣の場合における派遣先の雇用申込みなし規定の新設
3、雇用契約が2ヶ月以内の派遣の原則禁止

一方、現在伝えられている修正の方向性は、以下のとおりである。
1、登録型派遣、製造派遣の原則禁止を削除する。これらを検討課題とする。
2、違法派遣の場合における派遣先の雇用申込みなし規定を法施行から3年後施行とする。
3、雇用契約が2ヶ月以内の派遣の原則禁止を「30日以内」に緩和し、「雇用機会の確保が特に困難な場合等」を日雇い派遣を認める例外とする。

派遣法改正は急務である。ワーキングプアを大量に生み出す日雇い派遣や、たくさんの派遣労働者の命を危機にさらす派遣切りを生み出す登録型派遣、製造派遣をこのまま放置し、日雇い派遣を実質的に現行のまま容認する修正は到底許されない。自民党・財界は規制緩和・雇用劣化のはてに、格差拡大をもたらし膨大なワーキングプアを産み出したことについて何らの反省がない。
また、東日本大震災後の雇用劣化の状況の中で、いまこそ人間らしい希望を持てる働き方の創出が問われているのだ。このままでは、ますます日本は希望を持って働くことが困難な状況が続くことになる。
我々は、派遣切りを繰り返さないために、国民の強い意思を背景につくられた政府案をふまえた派遣法改正を速やかに実現することを求める。

以上

派遣法改正法案の修正に関する声明(20111122.pdf)

26 7月

私たちは改正労働者派遣法案の早期成立を求めます

2011年7月13日
格差是正と派遣法改正を実現する連絡会(派遣法改正連絡会)
NPO派遣労働ネットワーク理事長 中野麻美
NPOガテン系連帯代表      木下武男
全日建運輸連帯労組中央執行委員長 長谷川武久
全国ユニオン会長         鴨 桃代

「リーマンショック後の2年余の間に雇用を打ち切られた非正規労働者は厚生労働省が把握した限りでも30万737人。その半分以上が派遣労働者で、しかもその42%は、期間満了前の契約中途解除だった」ことが明らかになりました。(厚生労働省2010年12月27日発表)。その後雇用情勢は落ち着きを見せ始めていましたが、そこに襲いかかったのが、東日本大震災と原発事故、計画停電による経済の縮小でした。派遣先による一方的な派遣切りが再現するとともに、震災便乗とでも言うべき休業・解雇・雇い止め・労働条件切り下げなどが、広がりつつあります。
しかし、大量派遣切りと年越し派遣村等の衝撃に応えて、公労使三者構成の労働政策審議会が建議し、国会に提出された改正労働者派遣法案は、国政の混乱と衆参ねじれ再現等の余波を受けて、2回ほどの審議が行われただけで、店晒しの状態が続いています。登録型派遣の原則禁止、派遣先の違法に対する「みなし雇用責任」の導入など、改正法案はこれまでの規制緩和一辺倒に歯止めをかけ、派遣労働者の権利実現にむけた一歩への期待を抱かせる内容でした。改正法案が放置されたままになっているのは大変残念でなりません。
一方、今年になって、東大社会学研究所(請負社員・派遣社員)、連合(パート・派遣等労働者生活アンケート)、日本人材派遣協会(派遣スタッフWebアンケート1万人調査)、東京都産業労働局(派遣労働に関する実態調査-常用型派遣を中心に-)、日本労働政策研究・研修機構(派遣社員のキャリアと働き方)、派遣労働ネットワーク(派遣スタッフアンケート)など、派遣労働者を対象にした調査の結果が相次いで発表されました。
それらの報告書を虚心坦懐に読めば、①正社員の仕事につけず派遣になったが、②キャリアアップを望むも派遣会社から十分な教育訓練も行われず、③差別や不安定な働き方に苦しみながらも、④派遣先正社員との均等待遇や生活の安定と将来的に続けられる仕事を求め続ける、という労働者像が共通なものとして浮かび上がってきます。
現在、格差社会に対して何もできないでいる政治に対して国民の不信は極まりつつあります。
国会はただちに、改正派遣法案の審議を再開し、派遣労働者の声を聞くべきです。審議をつくして法案を成立させ、現状の改善へ向けた実効ある一歩を踏み出すべきです。

【格差是正と派遣法改正を実現する連絡会】
連絡先:渋谷区代々木4-29-48西新宿ミノシマビル2F 全国ユニオン気付
TEL 03-5371-5202 FAX 03-5371-5172

私たちは改正労働者派遣法案の早期成立を求めます(20110713.pdf)

14 7月

派遣法改正院内集会 大盛況!

「二度と派遣切りを繰り返してはならない」という声に押されて昨年春、国会に提出された派遣法改正法案は今なお放置され、震災をきっかけに第二次派遣切りが始まってしまいました。
大量失業を生み出す現行の労働者派遣制度を一刻も早く規制強化するため、派遣法の抜本改正を求める「なんでやらない派遣法抜本改正7.13院内集会」が派遣労働ネットワークも参加する「労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動」の主催で7月13日(水)12時00分から参議院議員会館で開催。民主党、社民党、共産党などから衆・参両院の議員を含め105人が参加、大盛況となりました。
震災をきっかけに派遣切りが始まる中、ますます派遣法改正の必要性・緊急性が高まっていることが確認されました。
同日に開催された「3党合意を実現する会」には、約200人が参加。郵政改革法案と派遣法改正法案の成立の機運は高まっています。会期延長になった今国会での派遣法改正法案成立をめざします。