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クーリング期間悪用の仕組み

〜こんな行為は違法・脱法になります!〜

◎はじめに

労働者派遣法の改悪により、派遣の適用対象業務が大幅に拡大されました。派遣可能期間の制限は26の専門業務については定めがなく、それ以外の業務については原則1年、派遣先の過半数労働組合などの意見を聞いた場合は最長3年まで延長できることになっています。
そして、派遣可能期間を超えて派遣労働者を使用する以下のような場合に、派遣先は派遣労働者に対して「直接雇用の申込み義務」が発生します。
(1)専門の26業務の場合:派遣開始から3年以上経過し、その派遣労働者が行っていた同一の業務に直接雇用する労働者を雇い入れる場合
(2)専門の26業務以外の業務の場合:派遣先の過半数労働組合などの意見を聞かずに同一の業務で1年超えて派遣労働者を使用する場合、または3年超えて派遣労働者を使用する場合
このように派遣期間の制限は「派遣労働者」ではなく「派遣業務」にかかります。

<例:この場合はCさんに対して雇用契約の申込み義務がかかります>
Aさん(1年)派遣会社D Bさん(1年)派遣会社E Cさん(1年)派遣会社F

(注)同一の業務について派遣先指針では組織の最小単位で異動していても、同じ上司の指揮命令を受けているような場合は、同一業務とみなされるとしています。一方、例えば、課がさらに係、班などに分かれていて、業務の変更とともに異動し、指揮命令を行う上司も変わっていた場合などは、「同一の業務」にはみなされない可能性が高くなります。

◎クリーリング期間とは

専門の26業務以外の業務で3年間派遣労働者を受け入れた場合、その後、同じ部署で2度と派遣労働者を受け入れることができなくなるというわけではありません。
派遣期間終了後から3カ月を超えた期間の間を空ければ、同じ部署で派遣労働者を受け入れることができるとされています。これが「クーリング期間」と呼ばれているものです。

派遣期間(Aさん) クーリング期間(3カ月+1日以上) 新しい派遣期間(Aさん)

クーリング期間の法律的な根拠は「派遣先が講ずべき措置に関する指針」の以下の規定に基づいています。

14 労働者派遣の役務の提供を受ける期間の制限の適切な運用
派遣先は、労働者派遣法第40条の2の規定に基づき派遣労働者による常用労働者の代替の防止の確保を図るため、次に掲げる基準に従い、事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から同条第2項に規定する派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならないこと。
(1)〜(2)略
(3) 労働者派遣の役務の提供を受けていた派遣先が新たに労働者派遣の役務の提供を受ける場合には、当該新たな労働者派遣の開始と当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣の終了との間の期間が3月を超えない場合には、当該派遣先は、当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣から継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなすこと。

◎2009年問題とは

製造業務への労働者派遣が解禁された当初は、派遣可能期間は1年でそれ以上は認められませんでした。これが、他の業務と同じように原則1年、最長3年まで延長されたのは2007年3月です。
このため、2006年3月からスタートした派遣期間の最長は2009年3月に3年目を迎え、場合によっては、派遣労働者を受け入れている工場では多くの派遣労働者に対して直接雇用の申込み義務が発生することが予想されます。これが、いわゆる「2009年問題」です。
2006年3月――2007年3月――2008年3月――2009年3月
  |←――1年目――→|←――2年目――→|←―3年目――→|直接雇用の申込み義務!

◎2009年問題の背景

派遣労働は本来「臨時・一時的」な労働力の需給調整システムです。しかし、安価な人件費、雇用調整が容易な労働力、として派遣労働が安定した雇用を侵食しています。
こうして、直接雇用した労働者で対応すべき仕事も派遣労働者で行う、いわゆる「派遣労働者の常用代替」が進んでしまったことなどから、3カ月のクーリング期間を設けてしまうと業務に多大な影響が出てしまいかねません。しかし、安価な人件費、雇用調整が容易な労働力を手放したくない派遣先は直接雇用をしたくないというのが本音です。
そのため、実質的にクーリング期間中もそれまで派遣で働いていた労働者を同じように使用し続けするための、様々な違法・脱法行為が考えられています。
期間制限違反を逃れるための手法をまとめると、上記の手法を含めて以下の3つの手法が挙げられます。

◎派遣期間制限を逃れる手法

(1)偽装直接雇用型
3カ月+1日以上、派遣先で直接雇用し、その後、派遣労働者に戻す方法である弁護士が指導している、もっともスタンダードな違法行為です。
派遣期間 派遣先に直接雇用(3カ月+1日以上) 派遣期間
派遣先に直接雇用されている期間の労務管理を派遣会社が請け負っていることもあります。

(2)偽装異動型
部署名や管理者の異なるラインで平行して同じ作業を行なわせ、それぞれの抵触日をずらしておく。あるラインに抵触日が来たら、そこのラインは「3ヶ月+1日」だけストップし、止めたラインの派遣労働者は残りのラインに異動して働いてもらう。あるいは、異動したかのように書面上で取り繕う方法です。
※製造ラインA、B、Cはすべて同じ派遣会社です。

(3)偽装直接雇用の申込み型
派遣先が期間制限違反に基づく雇用申し込みをするが、それまで派遣で働いていたときを大幅に下回り、生活できない労働条件を提示することによって、労働者に雇用申し込みを拒否させる方法です。
また、有期契約で雇い入れ、契約更新をしないことで職場から追い出す方法もあります。この方法は、他の派遣労働者に対しても「直接雇用されても長く働くことはできない」という思いを植えつけるという効果があります。

これらの行為については、厚生労働省でも問題視しており、労働力の貸し借りを禁止した職業安定法44条(労働者供給事業)に違反した違法・脱法として厳しく指導することを言及しています。特に(1)偽装直接雇用については、同様のケースで一時的な派遣先への直接雇用が違法な「業としての出向」に当たると判断された判例(ラポールサービス事件 名古屋高裁)があります。
今後は、一般的に蔓延している(1)に加え、(2)の脱法性を追及するとともに(3)についても「従来の労働条件を下回る労働条件を提示すること」は「雇用申し込み」をしたことにはならないという観点から、派遣先労働者との均等待遇(少なくとも派遣就労時の労働条件以上)と期間の定めのない雇用契約を求める闘いを展開していきます。

[参考リンク]⇒いわゆる「2009年問題」への対応について(厚生労働省)