第10回研究会レポート

7月11日(金)に第10回目となる「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」が開催された。今回は、厚生労働省がこれまでの議論を集約した「これまでの議論における論点」を提出した。
冒頭、鎌田座長は与党PTの「労働者派遣制度の見直しに関する提言」についても触れ「禁止される範囲と理由について検討していくことになり、研究会の方向と実態として違わないのではないか」などと述べ、具体的には危険な業務、適切な労務管理が行えない業務について禁止していくべきとの方向性を示した。
これに対し、有田委員から「日雇い派遣は原則禁止し、ポジティブリスト化することが望ましい旨の発言があったことを記載してほしい」といった意見が出された。
この他「事前面接」については、鎌田座長が「派遣労働者を特定する行為」であれば禁止されるべきだが、「派遣労働者を特定することを目的とする行為」の「特定することを目的」では主観的になるのではないか、などとして難色を示した。
また、直接雇用のみなし制度の関連については、どのような場合(違法派遣、偽装請負など)にどのような効果(行政指導・勧告、民事上の損害賠償)を与えるかについて、やや議論が分かれた。
なお、鎌田座長は「今回、これまでの意見の集約を厚生労働省に頼んでいたが、報告に近いものになった」などとしており、今回の「これまでの議論における論点」は次回(開催日は未定)に示される予定の報告のベースになると思われる。
以下では、「これまでの議論における論点」の全文を掲載する(下線部分は議論が不十分とされた部分)。

これまでの議論における論点

1 労働者派遣制度についての基本的な考え

(1)現行制度の基本的な位置づけ

○現在の労働者派遣制度は、職業安定法に基づき労働者供給事業を禁止する中で、
当時、
・労働力需給の迅速かつ的確な結合を図り、労働者の保護と雇用の安定を図るためには、労働者派遣事業を労働力需給調整システムの1として制度化し、必要なルールを定める必要がある
・制度化に当たっては、我が国における雇用慣行との調和に留意し、常用代替を促すこととならないよう配慮する必要がある
とされたことを踏まえ、業務の専門’性、雇用管理の特殊性等を考慮して、その対象業務を限定して制度化されたもの。
○平成11年改正時において、常用雇用の代替のおそれが少ないと考えられる臨時的・一時的な労働力の需給調整に関する対策として位置づけられた。

(2)制度検討に当たっての基本的な視点

○これまでの事業規制の緩和は労働者保護の強化を伴って行われている。事業規制をゆるめながらも、派遣労働者の保護と雇用の安定を充実させる方向が望ましい。
○労働者の保護と雇用の安定を図るため、必要なルールを定めるという労働者派遣制度創設の趣旨は、現在においても変わるものではない。
○長期雇用を引き続き基本としつつも、今後とも就業形態の多様化は進んでいくものと考えられる中で、労働者の雇用の安定を図りながら、その希望と能力が活かせる幅広い選択肢が準備されていくことが求められる。
○支配関係に基づく中間搾取や強制労働といった弊害を防止するという、労働者供給事業禁止の趣旨は、否定されるものではない。
○迅速な需給調整の仕組みであること、また、派遣元事業主が派遺労働者の能力を保障し、質の高い人材を一時的に派遣することができることが、労働者派遣の意義。
○このため、我が国の雇用慣行との調和に配慮しつつ、常用雇用代替防止を前提とし、臨時的・一時的な労働力の需給調整のシステムとしての位置づけは維持しつつ、派遣労働者の類型、希望等に配慮した制度となるようにすべき。

2 派遣に対する規制措置のあり方

(1)派遣労働者の雇用の安定を図るための仕組

[1]「常用型」「登録型」の在り方について
○「常用型」「登録型」では、従事する業務、雇用管理の在り方、将来への希望等にも差が見られる。
○「常用型」については、派遣元事業主が派遣就業の機会がない時についても雇用責任を負うものであるが、有期雇用契約を反復更新される労働者も含まれることから、「期間の定めのない」もの若しくはこれと厳密に同視できるものに再整理するとともに、これを雇用の安定が図られるものとして評価し、派遣労働者として働き続けたい労働者を中心に、「常用型」へ誘導していくことが適当。
○一方で、「登録型」については、雇用の安定という観点からは、評価できない部分がある。
○特に、短期の有期雇用契約を反復更新されながら、長期にわたり就業している場合については、雇止め規制が有効に機能せず、労働力需要の予測についてのリスクを派遣労働者が負うこととなっていることは問題。
○また、「登録型」については、能力開発の機会が得にくいことや、就業経験が評価されないといった問題があり、特に、やむを得ずこうした働き方を選択している労働者にとって、問題が大きい。
○しかしながら、
・こうした働き方を選んで働いている労働者も多くいること
・アルバイト的な働き方を希望する場合には、負担が少なく、迅速な労働力需給調整の仕組みとしてメリットがあることから、これを禁止することは適当ではない。
○「登録型」の派遣労働者についても、必要な能力開発を行うことができ、また、やむを得ず労働者派遣で働いており、派遣以外の形態を希望する労働者がそうした機会をできるだけ得ることができるよう、派遺元事業主が積極的に努めるとともに、国の支援策も充実すべき。<スキルアップを考慮した派遣就業の機会の提供、派遣元での常用化、情報提供、紹介予定派遣の努力義務等が考えられる>

[2]日雇派遣の在り方について
○労働者派遣は、臨時的・一時的な労働力需給調整のシステムであり、一日単位の雇用契約で派遣される日雇派遣を含め、短期の有期雇用契約を締結して派遣されることが、期間が短いということだけで当然に否定されるものではない。学生など、短期で臨時的に働きたいニーズに応えるものであり、また、専門業務等においては、労働力需給調整のシステムとして有効に機能している。
○一方で、現実には、特に日雇派遣について、データ装備費等の法違反が生じていることや、労働災害等も問題となっている。
○当研究会におけるヒアリングにおいても、労使双方から、特に、危険業務の日雇派遣については問題があるとの意見が出されている。
○日雇については不安定雇用の最たるもの。特に派遣については、これまでの日雇の社会・労働保険が想定してこなかった形態であり、現実にその適用が難しい場合があり、社会的にも保障に欠ける状態に置かれやすい。
○派遣については、派遣元事業主が必要な教育訓練等をはじめとする雇用者責任を果たすことが制度の前提であるが、短期であれば、これが果たしにくくなる。
○特に、危険業務においては、派遣元事業主の教育訓練や不十分であったりすることが労働災害につながりやすく、こうした災害が生じた場合、事後にこれを是正することはできない。
○こうした状況を踏まえると、専門業務等を基本に、広く交渉力があり、禁止をする必要がない業務もあるが、危険度が高く、安全性が担保できない業務や労務管理が担いえないものを中心に、その範囲を政策的に決定した上で日雇派遺を禁止することも、政策的には選択肢たりえる。
○この制限に当たっては、職業紹介や、求人広告といった、労働者派遣以外の短期の労働力需給調整の仕組みが有効に機能するようにすること、日雇派遣労働者の常用化の支援も含めた公共職業安定所での支援が充実されるよう、あわせて措置がなされることが必須。

[3]派遣受入期間の制限等について
○労働者派遣は、常用雇用代替防止を前提としており、これを派遣受入期間の制限を設定するという方法で担保している。
○長期雇用を引き続き基本とするとの雇用政策全体の考え方を踏まえれば、労働市場全体として安定した雇用を確保していくことが必要であり、常用雇用代替防止という機能は維持すべき。
○臨時的・一時的なものであることの担保としては、フランスのように活用事由を制限するという方法もありうる。しかしながら、フランスとは異なり、我が国においては、有期雇用契約は法制上規制されていないことから、これを選択することは、法制上の整合性を欠くことになり、また、現実に臨時的・一時的な場合を網羅的に規定できるかという問題もあり、適当ではない。
○また、派遣対象業務の限定によって、臨時的・一時的であることを担保するという方法もあるが、現在、有効に機能している育児・介護休業の代替などについても不可能となる業務が出てきてしまうこと、臨時的・一時的であることを派遣受入期間の制限によって適正に担保し、多くの業務が派遣労働を希望する労働者にとっての雇用機会ともなっていることに鑑みると、こうした機会を制限してしまうことは適当ではない。
○派遣受入期間の制限については、これがあることで派遣労働者が同一の派遣先で長期間就業することができないことから、派遣労働者の雇用の安定を図るため、撤廃すべきとの意見があるが、これを維持することが適当。
○期間制限をするためには、必然的に期間をカウントすることが必要となり、継続しているかどうかの判断が必要となることから、いわゆるクーリング期間が設けられているもの。派遣受入期間の制限の趣旨が徹底されるよう、厳正な運用がされるべき。
○なお、派遣対象業務については、建設、港湾等が禁止業務となっているが、これについて特段の意見はなかった。

[4]雇用契約申込義務等について
○派遣受入期間の制限については、(3)で述べたとおり、これを維持することが適当である。この違反防止措置である、法第40条の4についても、これを維持すべき。
○法第40条の5については、派遺受入期間の制限のない業務についてのものであり、「常用型」の派遣労働者については、すでに派遣元事業主との関係で雇用の安定が確保されているにもかかわらず、こうした義務があることによって、かえって派遣元事業主の能力開発に対する意欲を削ぐ結果となっていることが、当研究会のヒアリングにおいても、労使双方から指摘されている。
○このため、[1]でも述べた、「常用型」を「期間の定めのない」もの若しくはこれと厳密に同視できるものに再整理することを前提に、法第40条の5の雇用契約申込義務については、「常用型」を対象としないこととすべき。
○「登録型」については、より多く、雇用の安定につながる機会を確保するため、引き続き法第40条の5の雇用契約申込義務についても、その対象とすべき。
○これに加え、登録型を中心とした派遣労働者が、希望に応じて安定して働いていけるようにするため、紹介予定派遣の活用による派遣先での直接雇用の推進、派遣元における常用型への転換促進等、派遣元事業主が積極的に努めるとともに、国の支援策も充実していくことを検討すべき。

(2)派遣労働者の処遇について

○派遣労働者として安定して働くことを希望する労働者が安定して働けることが重要。同時に、適正に処遇され、納得して働くことができることが重要。

[1]均等・均衡処遇について
○派遣先で就業する仕事が同じ場合に、処遇も同じであれば、納得は得られやすい。
○賃金を含めた処遇は、それぞれの企業において、企業業績や人材育成の方針等も踏まえながら、労使自治に基づいて決定されるもの。どの企業もこうしたことが同一ということはなく、処遇は内部労働市場の間題となる。
○我が国においては、企業を超えた産業別賃金は確立しておらず、均等・均衡処遇は、我が国においては、企業が異なる者の間では考えられてこなかった。
○派遣労働者については、派遣元事業主が雇用者であり、派遣先労働者との均等・均衡処遇を実現するには、検討課題も多い。
○これを転換して派遣先労働者との均等・均衡処遇を行うとすると、比較対象労働者、業務を明確にする必要があるが、派遣労働者については、臨時的・一時的に当該派遣先で就業し、業務の種類も臨時的・一時的なものを担うことが多いことから、内部労働市場で、比較しうる労働者、業務を位置づけにくく、実行に困難がある。
○派遣先労働者との均等・均衡処遇の実現は、同じ派遣元に雇用されて果なる派遣先に派遣されているが、仕事は同じ労働者間の不均衡の実現につながるが、こうしたことは許容されないのではないか。 ○一方で派遣労働者は派遣先が指揮命令しており、この関係をもとに、現にそこで指揮命令を受けて働いているということに着目したことは必要。
○休憩室の利用等派遣先でなければ対応できないことがらや、教育訓練等同じ職場での適正な職務遂行を可能にするために必要なものについては、現行制度でも均等配慮が規定されているが、これらについては徹底していく必要。
○派遣労働者の就業の適正さ、納得性を高めていけるようにするためには、その処遇の内容の説明が重要。必要に応じて派遣労働者が処遇についての説明を受けられるようにすべき。

[2]派遣労働者の労働条件について
○いわゆる「マージン」については、派遣料金から派遣労働者の賃金相当額を引いた額を念頭に、規制すべきとの意見があるが、その前提には、本来働いた労働者に支払われるべきものから、派遣元事業主が中間搾取をしている部分があるとの考え方がある。
○この差額を規制することは、事業運営の中で労働者に支払う賃金の設定を規制することであり、労働者派遣事業が法律上認められている以上、労働者派遣事業についてのみこうした規制をすることは適当ではない。
○これを規制することにより、派遣労働者の賃金水準が向上し、派遣労働者の利益となることが期待されているものと考えられるが、仮に、規制した場合、教育訓練費を減らすインセンティブになる等、結果として逆に派遣労働者にとっての不利益となるおそれがある。
○派遣労働者に対する教育訓練を充実し、賃金等の労働条件を向上させていくことが目的であれば、情報公開を通じて、良質の派遣元事業主が、派遣労働者から、さらには派遣先から選択されるようにすることにより、結果的にこれが実現されることが適当。
○同時に、派遣労働者が納得の上で雇用契約が締結できるようになることが適当であるが、派遣労働者が確実に情報を入手できるようにすること、処遇について説明を受けられるようにすることが、これに資するもの。
○現在、情報公開については、指針上、派遣料金、派遣労働者の賃金等事業運営に関する情報の公開を求めている。これを法律上明確に義務づけることにより、徹底し、また、派遣労働者が確実にこうした情報を得られるようにすべき。
○その際、派遣労働者に対して、個別の派遣料金の額と経費を開示することも考えられるが、派遣労働者一人一人に係る経費の額まで、分析することがそもそもできるのかという問題があり、結局は、平均値と同じことになることも考えられることから、法的義務とすることまでは困難。
○重要なことは、適正と考え、納得できる労働条件で雇用契約を締結できるかということ。登録、募集又は雇用契約の締結に当たって、派遣労働者が選択できるよう、教育訓練も含めて、待遇の説明を義務づけることが適当。

[3]教育訓練について
○派遣元事業主が雇用者ではあるが、派遣労働者は流動性が高いことから、教育訓練をするインセンティブがないことが問題であり、そうした仕組みを、国又は事業者全体で考えていくべき。
○長く働く意欲がある派遣労働者に対しては、紹介予定派遣を通じた派遣先での直接雇用、派遣労働者として、常用型での継続した就業等、常用雇用への道筋を示しつつ、派遣元事業主が取り組むことを進めていくべき。
○派遣先については、求めるスキル、そのための教育訓練について、適切に派遣元事業主が把握できるよう、協力することが求められる。

(3)派遣元・派遣先の責任分担の在り方について

○ヒアリングにおいては、労働災害もその多くは派遣先で生じることから、派遣先も労災補償の責任を一部負うべきではないかとの意見があった。
○そうした派遣先に派遣した派遣元事業主の責任もあり、災害補償の責任を全て派遣先に負わせることは適当ではないが、労働安全衛生の義務の多くが派遣先に振り分けられていることから、派遣先の重過失によって労働災害が生じた場合に、費用徴収ができるようにすることを検討すべき。
○そのほか、派遣先についても使用者として位置づけ、連帯責任を課すことについては、労働者にとっての最終的な責任が確保され、また、良質な派遣事業者が選ばれるようになるとの効果は期待できるのではないか、との意見や、派遣元事業主のみを雇用者として雇用者責任を負うことを前提とした制度の下では、そのような位置づけは難しいとの意見、かえって、責任分担があいまいになり、労働者の保護につながらない、との意見があった。
○さらに、現実に大きな問題が生じてくれば、その都度、それぞれの制度の観点から、検討すべき。

(4)労働力需給調整機能の強化について

[1]特定を目的とする行為(いわゆる「事前面接」等)について
○労働者派遣は、派遣元事業主が労働者を雇用し、派遣先は労働者派遣契約に基づき、当該労働者を指揮命令するものとして、罰則をもって禁止されている労働者供給事業から分離させて、適法化された。
○労働者派遣の意義は、派遣元事業主が当該労働者派遣の業務遂行に必要な労働者を選び、雇用した上で、派遣先に派遣することであり、派遣労働者の雇用はあくまで派遣元事業主が雇用者である地位に基づいて行うものである。
○派遣先が派遣労働者の特定を行うなど、派遣元事業主の雇用者である地位に関与することは、派遣労働者を指揮命令する範囲を超え、労働者供給事業に該当する可能性があることから、広く、特定を目的とする行為として規制されている。
○特定を目的とする行為がなされたとしても、それが派遣元事業主と派遣労働者との雇用に影響を及ぼし得なければ、労働者供給事業に該当する可能性はなくなることから、これを規制する必要はなくなる。 ○特定を目的とする行為には、いわゆる「事前面接」が含まれるが、これについては、派遣先と派遣労働者のミスマッチの解消が期待できるとの意見や、派遣労働者の側からも、実際の就業場所の状況を知りたいとの意見があり、こうした意見には一定理由があると考えられる。一方、現実には現在も面接が行われており、不当な差別が横行しているとの意見もある。
○常用型については、「期間の定めのない」もの若しくは厳密にこれに類似するものに再整理すれば、派遣元事業主と派遣労働者との間に雇用関係が存在し、さらにこれが当該派遣就業にかかわらず継続することが前提となることから、仮に特定を目的とする行為が行われたとしても、これにより雇用関係の存否に影響することはなく、雇用機会を不当に狭めることはない。このため、特定を目的とする行為を可能としても差し支えない。
○しかしながら、特定を目的とする行為を行うとしても、派遣先は派遣労働者を雇用するのではないことから、採用にかかる年齢や性別を理由とする規制については直接規制がかかるものではなく、また、不要な個人情報の収集などにより派遣労働者に不利益を及ぼすことはあってはならないことから、必要なルールは設定されるべき。
○これにより、ミスマッチ解消が可能となり、さらには、これが選好されることによって、派遣元事業主にとって、常用型で派遣労働者を雇用すること、また、教育訓練をすることのインセンティブとなることが期待できる。
○登録型については、雇用関係の存否に大きく影響し、労働者供給事業に該当する能性があり、雇用機会の喪失につながる可能性が高いことから、特定を目的とする行為が行われないよう、努力義務に止まらず、徹底が図られるべき。
○労働者供給に当たる場合は禁止することもありうるが、恐れがあるというだけの場合もある。また、「特定とすることを目的」という主観的要件だけで構成されており、目的とする一切の行為になってしまう。法的義務とするならば、この範囲を明確にする必要がある。
○事前面接についても、例えば外形的に競合で行う事前面接など、非常に問題のあるケースありその辺りの定業については少し工夫をすることが、業務とする場合には必須。
○現行指針で特定を目的とする行為に当たらないとして許容されている、労働者が自発的に事所訪問をすること(事前打ち合わせ)等については、これが派遣元事業主、派遣先は全く関与しない中で行われることは現実に考えにくく、望まない場合の不利益取扱いが行われないよう担保されることを前提として、派遣労働者が同意する場合は可能とすることも検討すべき。

[2]紹介予定派遣について
○派遣元事業主、派遣先、派遣労働者ともに、評価している制度といえる。
○特に、やむを得ず派遣労働者として働いており、派遣でない働き方を希望する労働者にとっては、これが実現する一つの手段となりうることから、派遣元事業主もこれを積極的に活用すべし。
○積極的に活用していくに当たっては、派遣可能期間と派遣終了後の直接雇用の条件について、トラブルが生じがちなこと、派遣可能期間について、業務は1年がサイクルなことも多く、少なくとも1年の派遣就業がないと採否を判断することは難しいこと、が指摘されている。
○トラブルを防止し、紹介予定派遣が直接雇用に向けた選択肢としてより評価されるよう、予定される求人条件が予め派遣労働者に対して明示されるよう、徹底すべき。
○派遣可能期間については、派遺先が派遣労働者の採否を判断するに当たり、必要十分な期間を勘案して設定すべきものであり、これより長い期間を設定することはそもそも不要であり、派遣労働者をいたずらに長く不安定な状態に置くこととなり、適当ではない。
○一般の試用期間とのバランスから言っても、半年程度が適当。現行の制度を変更する必要性は見当たらない。

[3]グループ内派遣について
○労働者派遣制度が労働力需給調整の仕組みとして制度化されていることから、適切な労働力需給調整の機能を果たさないものについてまで認めることは適当ではない。
○専ら労働者派遣を特定の者に対して行うことを目的としているもの(いわゆる「専ら派遣」)については、労働力需給調整の機能を果たすとは言えないことから、そもそも労働者派遣事業の許可がなされないこととなっている。
○専ら派遣について規制を強化すべきとの意見は、グループ企業において、派遣会杜を設け、グループ内の企業専門に派遣すること(グループ派遣)が広まっており、企業が労働者のあるべき労働条件を切り下げて、コスト削減を図っているとの問題意識がある。
○グループ派遣については、グループ全体として統一的な人事管理を行う中で派遣会杜があり、そこヘグループ内のさまざまな企業から労働者が転籍をして、グループの中へ戻っていくということで考えれば、専ら派遣で想定される問題がグループという観点から見ても言え、労働力需給システムとして、常用代替防止ということから言うと、何らかの規制が必要になってくる。
○グループ内において、あるグループ内企業の退職者をグループ内の別の企業が受け入れることは自体は再就職あっせんの一つとして考えられる。
○労働者を退職させ、グループ内の派遣会杜に転籍させて、引き続き当該労働者を派遣労働者として受け入れることも、グループ内の支配関係からは容易であり、グループ全体の効率を追求する観点から、そのようにするインセンティブも働きやすく、労働者の労働条件の切り下げや、労使交渉の回避に使われるおそれが高い。
○グループ内派遣を行うものについても、労働力需給調整機能を果たすことが確保されるようにするためには、専ら派遣の規制とは別に、グループ内へ派遣する割合を、例えば8割といった形で規制することが考えられる。
○解雇回避措置として、グループ内の派遣会杜に転籍させてグループ内に派遣することは、これまでは直接雇用でなされていたことを労働者派遣で代替していくことであり、全体の常用代替防止を考えると、グループ内での解雇回避措置を労働者派遣まで含めてなすべきこととして考えるのかは、検討の余地がある。
○解雇の濫用に当たるような者をグループ内の派遣会社に転籍させて、転籍元に派遣するようなことは脱法行為とえられるが、いろいろな場合があり解雇の場合の今日の確保先がグループ内にされるということもある。単純な労働条件の切り下げだけで区別するのは難しい。
○解雇して、転鑑させ、派遣労働者として再度同じ仕事に労働条件を下げて受け入れることは許されない。それははっきりしているが、それ以外のどの範囲まで許されると考えるのか

(5)優良な事業主を育て違法な事業主を淘汰するための仕組みについて

[1]違法派遣の是正のためのみなし雇用等について
○違法派遣を是正するには、<1>適正な派遣又は請負として継続する、<2>派遣先が直接雇用する、<3>受入れをやめる、という方法が考えられるが、<3>となった場合、労働者派遣契約が解除され、役務の提供先がなくなることから、派遣労働者が職を失う可能性が高い。
○違法派遣の是正が、労働者の不利益につながることは本来避けるべきもの。
○違法派遣を是正しつつ、派遣先と派遣労働者との間に雇用関係を成立させる、何らかの手法(「雇用契約申込み」や「みなし雇用」)も一つの工夫として考えられる。
○違法の解消とともに、抑止力があるものとして考えられる。
○雇用関係成立をみなすことについては、派遣先での直接雇用を望まない労働者についてもこのような関係を成立させることになり、適当ではない。
○みなしや民事上の義務とする場合、労働条件が定まらないので、雇用関係のみの成立とすることにどれほどの意味があるのか
○違法の場合に民事上の雇用義務が発生することと構成し、これが果たされない場合には損害賠償ができるようなことが考えられるのではないか。
○適用除外業務への派遣、期間制限違反、無許可・無届派遣、いわゆる偽装請負について、対象とすべき。
○労働者派遣の定義を整理し、違法な労働者派遣は労働者供給事業として無効とすることで、ドイツの例にならい民事的な関係の整理とすることは可能。適用除外業務への派遣、無許可派遣、期間制限違反は労働者派遣制度の根幹に関わる違反類型。また、いわゆる偽装請負は、派遣先が承知しているかどうかで判断すればよい。いずれであっても、労働者供給事業として整理して問題ない。
○違反に対する派遣先の主体的な関与がある場合に、みなし雇用等の対象とすべき。適用除外業務への派遣、期間制限違反、無許可派遣については言えるが、偽装請負についてはどうか。請負契約を締結していたが、客観的に労働者派遣と認められたものであり、派遣先の主体的関与をどのようにとらえるか。偽装請負であれば全ての派遣先に責任を負わせるという考え方もあろうが、まずは是正させるべきではないか。
○偽装請負は、労働者派遣法の個別の条項違反を構成するものであり、それとは別個に偽装請負という違法類型を作ることは技術的に難しいのではないか。派遣先の主観的要件を付すことによって、個別の条項違反が悪質かどうかとは別に、別個の違反行為があるとして組み立てられるのか。
○労働者派遣契約締結時に、区分基準や派遣元事業主であることを明示させ、派遣先がどのような認識で契約を締結したかということが明白になるようにすることで、偽装の意図を判断するという仕組みは考えられないか。
○違反の是正措置として、行政の措置とすれば、主体的関与のとらえ方がどのような形であるかは別として、ある程度指導の内容として工夫しうる。
○こうした違反については、労働者供給事業として位置づけて、職業安定法により罰則を持って処罰することとすべき。
○労働者供給事業は、封建的な労働ボスによる支配を排除するため、受け入れ先に対しても罰則をもって禁止しているもので、労働者派遣として実施されるものが、違反だからと言って、労働者供給事業として整理されるべきかというと、非常に違和感がある。
○債務と捉えて派遣先に損害賠償責任を負わせるという考え方もある。
○債務とすれば、雇用申込義務があって、その履行ということになるが、その場合の債務の内容、すなわち労働条件をどう設定した雇用申込みかが確定できないと難しい。
○労働条件については、派遣労働時の労働条件を下回らない等の条件設定のルールを設定することも可能であり、それ以上の詳細については交渉義務を課すこともできる。労働条件を定めるための工夫はしうる。
○結局雇用関係を確定するためには、裁判での判決となり、労働者にとっても派遣先の主体的関与を証明することは難しく、負担が大きい。
○主観的要件については、客観基準を設けることでクリアしうる。
○要件を定めても、それをもとに裁判所が判断することになる。違法の是正措置として、行政措置にかからしめることも現実的な解決としてありうる。
○偽装請負以外には、主体的関与ということは当てはまらず、行政措置にかからしめる以外の解決も容易。
○二重派遣については、労働者は労働者供給事業により就業していることになり、直接労働者派遣法の規制は及ばないが、労働者派遣法違反の場合と同等のものが考えられるべき。このため、二重派遣についても、同様の措置の対象とできるよう、職業安定法の考え方も整理すべき。
○派遣事業と請負事業の区分について、その一層の透明化を図ってほしい、運用において一層の透明化を確保してほしいという意見もあり、今後、区分の在り方について、透明性を確保するという観点から、検討をするべき。

[2]その他法違反への対応について
○派遣先については、現行、勧告・公表の規定はあるが、その実績はない。勧告・公表に係る指導前置を削除し、違反を繰り返すなど悪質な派遣先にも厳正に対処できるようにすべき。
○みなし雇用等の対象とならない法違反もあるが、そうしたものも含めて、しっかりと違反の是正、抑止効果があるようにしていくべき。
○事業法であるため、ユーザーである派遣先には厳しい対処がなされないということにはならないのではないか。

3 情報公開の徹底について

○現在、情報公開については、指針上、派遣料金、派遣労働者の賃金等事業運営に関する情報の公開を求めている。これを法律上明確に義務づけることにより、徹底すべき。<再掲>
○良好な事業運営を行う派遣元事業主かどうかが、派遣先及び派遣労働者からもわかるよう、処分情報の情報公開については、わかりやすく、実施すべき。
○適正と考え、納得できる労働条件で雇用契約を締結できるかということ。登録、募集又は雇用契約の締結に当たって、派遣労働者が選択できるよう、教育訓練も含めて、待遇、の説明を義務づけることが適当。<再掲>
○労働者派遣制度の仕組みについても、派遣元事業主は、登録時又は雇用契約締結時に派遣労働者に対して説明すべき。その方法についてもチェックシートなどの工夫がしうる。また、その際、外国人については、説明方法等について配慮がされるべき。

(4)労働者派遣事業の許可要件・欠格要件について

○労働者派遣事業の許可は、労働力需給調整の仕組みとして事業運営をさせるべきでないのを、的確に排除できるものである必要がある。このため、悪質な派遣元事業主が、処分を逃れることのないよう、他法の例も参考にしつつ、検討すべき。

(5)労働者派遣事業適正運営協力員制度について

○労働者派遣事業適正運営協力員制度については、更なる周知を図り、実効が上がるようにしていくことが適当。

[参考リンク]⇒ 第10回 今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 配付資料(厚生労働省)
[参考リンク]⇒ 第10回 今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 議事録(厚生労働省)

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