「2018雇止めホットライン」相談内容の傾向と対策

厚生労働省にきちんとした対応を求めます
2018年2月13日
NPO法人・派遣労働ネットワーク

 

相談者の特徴的なプロフィール

〇相談者の圧倒的な数の人たちがすでに5年を超えて働いており、中には勤続20年を超える人もいる。

〇高齢者も女性も、障がいのある人も、働かないと生きていけないので、働き続けてきて、ここにきて雇用不安に襲われ、あるいは長年勤務してきた職場を切られている。有期や派遣は、使用者の都合によって切られることから、力関係が最も弱く、職場でも一段下にみられているから、ハラスメントや理不尽な取り扱いを受けやすく、体調がすぐれなくても、我慢して働くことが少なくない。そうした雇用でも皆生活のために働く必要があり、雇用を切られたら困るといっている。

〇長年有期や派遣で働いてきた人たちにとっては、無期であったり直接雇用されている社員と同じかそれ以上の働きをしてきたという自負がある。勤続年数は社員より長い人もいる。

〇本来なら雇用継続の権利があるはずのものとして扱うべきである。

〇働く期間が5年以内でも、短期の契約を繰り返し更新されてきた人も。同様である。

 

 

使用者(雇用主・派遣元・派遣先)の特徴的な問題

〇有期や派遣という形態を使う理由が、人件費の削減や人員調整目的という使用者の都合によるものであることは一般的にも共通の認識になっている。

〇相談者の多くは、こうした使用者の都合によって、有期であったり派遣であったりして働いているが、転換を求めているという一点で、安心できる働き方を求めている。

〇こうした使用者の一方的な都合による有期や派遣については、転換制度や雇用安定措置をかいくぐる使用者の都合で翻弄され、これまで以上に不安に襲われている状況にある。

〇使用者としては、前記の人たちについては本来なら、雇用を継続しなければならない責任があるはず。

〇無期転換制度の適用を契機として選別を進めているように見受けられるが、選別と排除の物差しに、性別、年齢、障がいの有無をうかがわせる。

 

  • 有期契約労働者からの相談事例の問題点
★更新条件の不利益変更は信義に反する。

★その結果としての雇止めは、雇用継続に対する期待権を侵害して許されない。

事例類型 疑問点とこれに対する判断・措置

(指摘のような内容で助言できるか)

1一方的通告 〇「労働契約法18条」を理由にした露骨な雇用打ち切り

〇3月末で雇止め。理由は言われていない。

〇5年以上になるから雇止め

★契約法18条及びその趣旨は周知されているのか?(乱暴な脱法があまりに多すぎる)

★3末で雇止めは少なくとも19条の適用になるのでこのような理由による雇止めは法的に許されないことは当然。

★救済されて当然のケースでも呑まされているのをどうするか。

2変更同意強要

 

〇契約法改正後契約期間や更新回数に「上限」設定して同意を求める

〇前記同様に「次回更新なし」の契約書にサインを求める

〇平成30年4月以降は雇わない旨明文化した契約書を盾に雇用打ち切り

〇4月ですでに5年になるひとは無期にするがそれ以下の人は最長4年6か月で打ち切る

★期間ないし更新回数上限設定は解雇(打ち切り)予告。

★長期勤務者に契約法改正後の契約更新の機会にこうした条件を付してくることは契約法逃れと推察できるが、合理的な理由がない以上は違法無効ではないか。

★契約期間の短期化や、5年に満たない労働者について最長4年6か月で雇用打ち切りというのも前記同様違法無効ではないか。

3クーリング 〇働きたいならクーリング期間をおくか日数減らすか選択を迫る

〇1月末で雇止め。働きたいなら1年後再雇用してやる

★勤務継続への期待が法的保護に値すると考えられるケースや契約関係の実態から期間の定めがないに等しいと判断されるケースについてはこのような措置は違法・無効。

★期待権を認めることが困難なケースであっても審議に反し、脱法的で権利濫用。

4選抜 〇更新条件に試験合格を入れてきた。これまで契約更新をしてきた人も不合格に
5同 〇無期転換したいなら試験を受けて合格すること ★無期転換に条件を付することは契約法18条に違反する。
〇ポストがない(人員削減)を理由に配転命令、応じなければ雇用打ち切り

〇過去のミスや何でもない行動をとりあげられて雇止め

〇更新なしの契約条件いれられて抗議しそれは撤回したが、今度は雇止め。

★無期転換を前にした雇止めについて、理由がないものは違法無効。

★無期転換を前に、これまで問題にしなかった行動やミスを取り上げたり、これまでなかったような命令に同意しないことを理由とする雇止めを行うことは違法無効。

★無期転換権行使やそのための権利主張を理由とする雇止めや労働条件の不利益変更などは違法・無効。

7賃下げ 〇無期に転換したいなら賃金下げる、有期のままなら賃金はそのまま
 
★無期転換権行使を理由とした労働条件不利益変更は違法無効。

差別

〇71歳を過ぎてからは5年以上は雇用できないとして打ち切り。

〇女性では長期の勤務を理由にしたのではないかと思われる打ち切りも

〇障害者枠で採用されても無期転換できるのか

★年齢差別、女性差別、障がいによる差別である場合は違法。

 

★以上のことを紛争解決を求めた場合のみならず、企業一般、労働者一般に周知させるべきではないか。
  • 派遣労働者からの相談事例の問題点
事例類型 疑問点とこれに対する判断・措置
13年上限 〇3月末雇止め通告

〇18年勤務していても派遣は3年上限なので3月末で契約しない

〇派遣先は延長希望なのに3月末で雇止め

★派遣元との関係ではまず前記労契法上の問題が指摘できることに加え、派遣元には派遣労働者に対する雇用安定努力義務を課しているので本末転倒。

★努力義務も法的義務であって遵守の程度に違いはないこと。

★このような露骨な義務逃れ(雇用を奪っているから義務違反)は是正に向けた助言指導勧告の対象となること。

2同 〇3か月契約を更新して長期に働いてきたが、派遣会社は派遣先3年以上の派遣の契約を打ち切っている ★雇用安定化義務に反する。助言指導勧告の対象になるべき。
3選抜 〇勤続8年で試験実施。落ちたので退職

〇2018年4月を迎えるにあたり10月に面談、3月末雇止め

★更新条件の不利益変更について契約法及び雇用安定義務に違反する。

先①

〇派遣元が派遣先の直接雇用を打診したが拒否。派遣先で安定して働き続けたい。 ★雇用安定化義務に反する。助言指導勧告の対象になるべき。

先➁

〇派遣先から無期転換の話をされたが断ると3月末で雇止め ★派遣先の無期転換要求は派遣期間制限を受けないようにするための措置だが、断って雇止めは、無期で働き続けることを前提にしながら言うとおりにしなかったから雇止めするというもので理由がない。

★このようなことをする派遣元は雇用安定化義務を負うものとしてはあってはならないことで違法無効。

★派遣先が受け入れないというのであれば、派遣先の権限濫用である。

6先③ 〇8月末までの予定で派遣されたが、社員が来る(採用ないし配置)ことを理由に雇止め ★派遣先は派遣労働者に対する情報提供義務があるし、雇用安定化の努力義務を負担しているので、これらの義務違反になる。
7中途解除 〇繁忙時季が終了したという理由で1か月で派遣契約打ち切り(中途解除or雇止め) ★いくらなんでも派遣だからといって契約途中で打ち切るのは問題。このような場合でも、雇用安定化義務を尽くすべき。
★以上の観点で行政指導を徹底すべき。派遣元・派遣先・労働者に対する周知も徹底すべき。

★また、派遣労働者についても雇用安定義務の行使にあたって選別と排除が進んでいるように思われるので、差別禁止法制に基づく徹底した行政監督が求められる。

18HL相談内容の傾向と対策