各党トップに聞く

今こそ派遣法の抜本改正を! 希望の持てる働き方を!

日時:2008年7月25日(金)18:30~20:30 於:総評会館

各党トップに聞く7・25集会

<パネル討論>
・パネリスト
山田正彦民主党ネクストキャビネット厚生労働大臣
志位和夫日本共産党委員長
福島瑞穂社会民主党党首
亀井亜紀子国民新党葺く幹事長
中野麻美派遣労働ネットワーク代表(コーディネーター)

中野:労働者派遣法が成立したときのことを思い出している。当時、ナショナルセンター4団体がともに反対する中で、この法律は生まれた。ここ20数年の間の、派遣法を中心とした規制緩和の流れが正しかったのか問いたい。 根本的な間違いがあったのだと思う。派遣法は、労働の世界に商取引を持ち込んだ。これは、労働法を破壊するものだった。だから、あくまでも例外的に認めると言う形で派遣法は誕生した。
しかし、この原則も99年法改正の原則自由化によってなし崩し的に壊され、現在の状況が生まれた。正社員も含めてあらゆる職場を、買いたたきの渦の中に巻き込んだ。労働者にとって、未来に希望がもてない社会状況を作り出した。この流れが大きく変わろうとしている。このような派遣法のあり方は今日、政治論議の焦点となり、どのように派遣法を見直すべきか、大きなターニングポイントを迎えている。
厚労省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」が見直し議論を進めているさなかに、先行して与党のプロジェクトチームが規制強化へと踏み込む改正案を示さざるを得ない状況となった。与党PT案は、社会問題化した日雇い派遣対策の色彩が強く、抜本的な取組になっていない。問題の本質は、派遣法成立時に議論したときと変わっておらず、労働者派遣はあくまでも例外的に認められるものだということだ。この考え方を貫徹させなければ、根本的な改革とはならない。

山田:労働者派遣法が日本経済を破綻させたのではないか。若年非正規労働者の結婚率は低く、これが経済にも影響を与えていると思う。
労働者派遣法見直しに関する民主党案では、まず日雇い派遣は禁止とし、登録型派遣自体についても問題ありという議論があり、2ヶ月より短い派遣は禁止としている。違法行為については罰則を厳しくするとともに、派遣元だけでなく派遣先にも連帯責任を持たせるようにしている。また、派遣先での労働安全衛生教育の徹底や、派遣元の情報開示を進めることを厳しく求めている。野党4党が共同提案できるようにさらに協議を続けたい。
派遣元のマージンについては、上限規制でなくとも、情報公開の強化によるマージン公開を実施すれば、派遣労働者による選択が進み、質のわるい派遣会社は淘汰されると思う。
派遣先が違法行為をした場合に、雇用関係が成立しているとみなす「みなし雇用」については、法制局との議論では難しいと考えた。しかし、「みなし雇用」については引き続き議論していきたい。

志位:派遣労働をめぐっては、規制緩和の連続だった。日本経団連は、さらなる規制緩和を主張している。野党は立場の違いはあるが、それぞれ協議を始めたところ。与党PT案の内容をみると、従来の緩和から規制に変化している。みんなの闘いが与党を1歩動かした。さらにもう1歩、中途半端なものにしないよう努力したい。いつでもクビにできる不安定雇用を一掃するような法改正を実現したい。
労働者派遣法は、「常用代替の防止」を法に規定している。日本共産党は首相に、国会の場で、この原則に変わりがないことを確認してきた。実態は全く違っており、この大原則がないがしろにされている。しかし、この大原則には誰も反対できないから、ここから問題にアプローチしたい。
雇用は、常用型が原則であり、登録型の派遣はあくまでも例外的に認められるもので、日雇い派遣は禁止するべきだ。99年の対象業務の原則自由化が常用代替防止の原則を崩すと主張してきたが、その通りになった。99年の前の状態に戻すことが重要だ。道を間違えたのだから、ここまで戻るべきだ。使い捨て自由の不安定雇用の一掃をめざし、抜本的な規制が必要だ。
2009年問題では、製造現場では派遣から期間社員に転換する事例も出ており、1歩前進だが、有期であるために雇い止めなどの不安にさらされていることに変わりはない。企業は、有期雇用に逃げ込もうとしている。有期雇用は合理的理由のあるものに限定するべきだ。

福島:4野党が結束して次期臨時国会に臨みたい。03、04選挙で、争点として派遣労働を取り上げた。労働者派遣法をはじめとする労働法制を少しでも人間らしいものにしたい。秋葉原や八王子の通り魔事件の背景に格差や貧困の問題がある。いまや、個人ががんばればなんとかなるという状況ではない。労働法制を抜本的に改正しないと、自殺か他殺しか居場所がないような状況は改善されない。
桝添厚労大臣にディーセントワークについて質問したら、「常用雇用のことだ」と答えた。これは、与党PTの派遣法改正案よりも先をいく考えだ。ならば、その通りやってほしい。
労働者派遣は、常用型を原則とし、登録型は専門的業務に限定すべきだ。また、派遣元・先の責任強化とともに、マージン率の上限や「みなし雇用」を制度にきちんと盛り込むべきだ。ぶつ切れ、細切れの契約の非正規労働は、問題が山積みだ。日雇い派遣では、有休の権利が生まれても、実際にはとりようがないのが現状だ。

亀井:自民党小泉政権の新自由主義が格差社会を生み出した。国民新党は自由主義だが、新自由主義ではない。この違いが自民党を割って出た原因となっている。
労働者派遣法には問題が多い。多くの不安定雇用を生み出したことが一番の問題。雇用の安定は重要課題だ。国民新党の派遣法改正案は、対象業務を専門的な26業務に限定し、99年改正前のポジティブリスト方式に戻すことが柱。期間制限の上限を3年とし、これを厳守させる。専門性がありながら、雇用が不安定なので、時給は高めに設定されていいと考えている。派遣の最賃という発想があってもいい。企業にとって一方的に使い勝手のいいものにしないことで、派遣労働の総量に規制をかけたい。

中野:労働者派遣制度は、商取引を雇用に組み込んだ。誰でもいいから人間としての労働力ではなくパーツとして来てほしいと言う働き方が生まれた。このような仕組みが人間を痛めつけている。派遣労働は、職業安定法で禁止されている労働者供給事業から、例外として切り出された。職安法にも、労働者派遣法にも、違法行為があった場合、どのように労働者が保護されるのかが書き込まれていない。これは大きな問題ではないか。私たちは、今回の労働者派遣法改正で、「みなし雇用」制度を導入するべきだと考えるがどうだろうか。「みなし雇用」規定を改正案に盛り込むに当たって、法務局と協議したはずだが、そのときのやりとりを紹介してほしい。

各党トップに聞く7・25集会

福島:派遣労働者保護の実効性を確保するために、「みなし雇用」制度を導入するべきだ。今回の改正で、とにかく限定的でもいいから「みなし雇用」規定を入れ込みたい。黙示の雇用を認めた松下PDP事件判決は画期的だった。
社民党の改正案では、対象業務、期間制限に反した場合や、もっぱら派遣、事前面接などの違法行為を行ったときに、派遣先と派遣労働者の間に期間の定めのない労働契約を締結したものとみなす「みなし雇用」規定を盛り込んでいる。「みなし雇用」規定については、各党で少しずつ考え方に違いがあるが、民主党、自民党を説得して、導入を実現したい。

志位:まず、労働者派遣法に「みなし雇用」規定を入れて、その上で、職安法の改正も求めていく。現状は、違法行為の摘発はあっても、労働者は保護されない。これでは、違法のやり得になってしまう。法務局との協議では、特段の困難はなかった。
99年改正が諸悪の根源であるということでは、各党とも認識が一緒だと思う。この線からともに取り組んでいくことができるのではないだろうか。与党PT案でも、問題はあるが、原則自由のネガティブリストからポジティブリスト化することを盛り込んでいる。

中野:そもそも、登録型の派遣を認めたことが、根本的な問題だった。厚労省の研究会でも登録型派遣は好ましくないとの態度を示している。登録型の仕組みが、究極の買いたたきである日雇い派遣を生んだ。派遣契約が終了したと言われると、登録型で働く派遣労働者はどうすることもできない。このような登録型派遣の問題をどう考えたらいいのか。

亀井:党内で派遣法改正について検討したとき、派遣労働は、口入れやが横行した前近代のような状況で、企業モラルとして問題だという議論になった。根本的に、企業は労働者の雇用に責任を持つべきだと考えている。

志位:99年改正以前に戻すことで大同団結して、状況を動かしたい。確かに、登録型派遣の問題は残る。しかし、今回の案は緊急提案であり、野党として一致して動くためのものという位置づけだ。究極は、労働者派遣制度自体を廃止するべきで、とくに登録型派遣はなくすべきだと考えている。

中野:民主党以外の各党は、派遣会社のマージン率の上限規制で一致している。どのような考えか。

福島:派遣会社のマージン率はかなり高率だ。労働者が手にする賃金がダンピングにさらされている。情報公開の徹底も併せて重要だ。

亀井:マージン率の上限規制や情報公開が徹底されれば、派遣会社の選別、淘汰が進む。

中野:秋の臨時国会に向けて、各党から決意表明をお願いしたい。

志位:派遣労働は、数ある使い捨て労働の中でも、もっともひどい働き方だ。これを許したら、社会全体、会社も社会も未来はない。正社員と非正規の連帯が大切。
正社員の労働組合が非正規に無関心ではダメだ。社会的連帯がこの問題の解決のカギとなる。一歩でも本格的な改正に力を尽くしたい。

福島:自分には関係ないというのではなく、あれもこれも関係あるという社会をつくろう。
各党の共通項は出ているので、全党挙げて取り組めるようにがんばりたい。秋の臨時国会では命をかける勢いでがんばりたい。

亀井:この問題は、自民党も巻き込んだ方がいい。自民党内部でも、これは問題だと考えている人たちがいる。
自民党PT案を見ても、日雇い派遣の禁止という点では野党各党の案と一致している。派遣労働はやはり専門職だという雰囲気をつくりたい。
与野党を超えて、若者の雇用安定のために運動をつくりたい。

<ゲストスピーカー/鎌田慧(ルポライター)>
労働者派遣法は、人転がしの悪法だ。職業安定法は、山谷や釜が崎などで横行したような劣悪な働き方を防ぐために、労働者供給事業を禁止している。これを労働者派遣法が崩した。社会正義として、派遣法を改正しなければ。
労働者派遣制度をやめたら、派遣労働が闇に潜ってしまうと脅かす人がいるが、もともとその闇を派遣法は合法化しただけ。秋葉原通り魔事件の犯人は、あの永山則夫と同じだ。彼の場合、絶望の中で掴んだものがナイフだった。この状況を誰が作り出したのか。
労働者派遣が広げたピンハネ状態は、産業民主主義としても恥ずかしいものだ。日雇い派遣はトヨタのカンバン方式を雇用にも持ち込んだもの。労働者が人間ではないモノとして扱われ、部品化されている。労働組合が無抵抗だったからここまで来てしまった。