第2回研究会レポート

2月29日(金)、厚生労働省で第2回目の「今後の労働者派遣制度のあり方に関する研究会」が開催されました。 冒頭、配布された資料について、厚生労働省の担当者が説明した後、鎌田耕一座長より今後の議論の方向性について提案がありました。
以下では、配布された資料のうち「派遣労働の雇用政策における位置づけについて(論点)」を掲載した後、議論や発言の要旨をご紹介します(橋本陽子は欠席)。

派遣労働の雇用政策における位置づけについて(論点)

【前提】
現在の労働者派遣制度は、職業安定法に基づき労働者供給事業を禁止する中で、当時、

  • 労働者需給の迅速かつ的確な統合を図り、労働者の保護と雇用の安定を図るためには、労働者派遣事業を労働力需給調整システムの一つとして制度化し、必要なルールを定める必要がある。
  • 制度化に当たっては、わが国における雇用慣行との調和に留意し、常用雇用の代替を促すこととならないよう配慮する必要がある。

とされたことを踏まえ、業務の専門性、雇用管理の特殊性等を考慮して、その対象業務を限定して制度化されたものであり、平成11年改正時において、

  • 常用雇用の代替のおそれが少ないと考えられる臨時的・一時的な労働力の需給調整に関する対策として、

位置付けられたものである。

【論点】

(1) 派遣労働は、その実績(派遣労働者、派遣元事業主、派遣先の数がそれぞれ増加していること等)を踏まえ、雇用政策の中でどのように評価しうるか。また、この評価を踏まえ、労働者派遣制度の位置づけを見直すべきか。
(2) 労働者派遣制度における事業規制と労働者保護の在り方について、これまでどのように考えられてきたか。また、今後どのように考えるべきか。
(3) 今後の雇用政策の基本的な方向性として、長期雇用を基本とすることの重要性等が示されているが、これを踏まえ、労働者派遣制度の位置づけを見直すべきか。

<考慮すべき点>

  • 常用雇用代替防止の趣旨や、臨時的・一時的な労働力需給調整に関する対策としての位置づけについて、どのように考えるか。
  • 有期契約労働者、パート労働者等との関係についてはどうか。
  • 例えば常用雇用型の派遣労働者等について、派遣労働者として安定して長期に働く場合、「長期雇用」と評価してよいか。
  • 派遣労働者として安定した長期雇用を実現し得るとした場合、「常用雇用の代替」をどのように考えるか
(4) 派遣労働者の働き方には、アルバイト的な働き方、その能力を生かして専門職としての働き方、正規雇用に至るまでのつなぎ等多様な働き方がある。今後の雇用政策の基本的な考え方として、働き希望を持つすべての人が自ら希望する働き方により安心・納得して働けることの重要性が示されているが、(1)~(3)を踏まえ、これらの多様な働き方をどのように位置づけるべきか。

【研究会での議論】
鎌田氏 職業紹介は国家独占から民間の活力を活用する方向に変わっている。ILO181号条約に見られるように、この傾向は世界的な流れになっている。事後的な規制が原則だが、セーフティネットの強化も必要だ。
参入規制、事業規制を緩めながら労働者保護を進めることが必要だ。就業形態が多様化しているが、どこまで非典型労働を認めるのか? 典型労働とどうバランスをとるのか?
もちろん、雇用の安定と労働者保護は重要。労働者の希望を考慮した幅広い働き方の選択肢はあったほうがいい。
有田氏 有料職業紹介ではなくて派遣でなければならない理由は何か? 両者の位置づけを考えるべき。日雇派遣は職業紹介に近いのではないか。
阿部氏 一般企業は多様な雇用形態を使い分けている。それぞれを選択することに、何らかの経済合理性があるはずだ。
厚生労働省 以前に行った調査によるとパートでなく派遣を利用する理由は、迅速な人材の確保、専門的なスキルを持った人材の確保、労務管理負担の軽減…などが多くなっている。
山川氏 派遣は常用雇用の大体を防止するとしているが、この場合の常用雇用とは何か? また、派遣は職業安定法第44条の労働者供給事業の例外として設計されたが、例外を洗い直すことも必要ではないか。
有田氏 迅速な人材確保なら職業紹介でも対応できる。スキルということで考えると、日雇派遣は職業紹介でいいのではないか。労務管理負担の軽減はコストと保護の兼ね合いをどうするかの問題になるのではないか。
阿部氏 一時的なアンバランスを埋めることが派遣の意味合いで、理想の姿ではないのか。ただ現実が理想どおりになっているかは別だ。
山川氏 日雇派遣を職業紹介に整理しても、雇用期間が超短期であることからくる問題は解消しないのではないか。
有田氏 日本の派遣は労働者供給事業から切り出した。一方、欧米(イギリスなど)は職業紹介から切り出した。各国の制度と比べて、今後のあり方を考える上で、この違いは大きいのではないか。
阿部氏 労働者保護は、これまで当事者間でやっていたような気がする。しかし、多様化した時代にそれができるのか? 当事者間のみでできることは少なくなっているので、社会保障を手厚くする必要があり、同時に参入規制の緩和を進めることも必要ではないか。
なぜ、常用雇用化を問われれば、多くの場合、長期的なスキルの形成などをあげるが、スキルが必要でなければ常用でなくてよいのか?
常用といったときに、現在の正社員のみを対象とするのかは、議論の必要があるのではないか。
鎌田氏 派遣先に労働者保護のコストを負わせるべきであるとの主張もあるが、私は雇用主である派遣元が第一であるべきだと考える。しかし、日雇派遣など契約期間が超短期の場合には、国も一定のコストを負担すべきではないか。
阿部氏 日雇派遣労働者にはセーフティネットがない。生活保護も受給のハードルが高い。雇用政策も社会保障を考えて設計すべきではないか。財源の問題はあるが、現状を放置することはできないのではないか。

[参考リンク]⇒ 第2回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 配付資料(厚生労働省)
[参考リンク]⇒ 第2回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 議事録(厚生労働省)

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