シンポジウム「派遣労働者の待遇改善をめざして」の報告
改正労働者派遣法の施行日である10月1日、NPO派遣労働ネットワークが主催した「派遣シンポジウム 派遣労働者の待遇改善をめざして」が東京・千代田区の連合会館で開かれた。パネリストは中央大学法学部教授の毛塚勝利さん、前ILO理事の中嶋滋さん、派遣ユニオン書記長の関根秀一郎さん、コーディネータは弁護士で派遣ネット理事長の中野麻美さんがつとめた。
国会提出から3年がかりで実現した労働者派遣法の改正。しかし、国会での審議で大幅な修正が行われた。改正法の施行によって派遣労働はどのように変わるのか、また今後の課題について、シンポジウムを行った。
冒頭では、社会民主党の福島みずほ党首があいさつ。日雇い派遣禁止を直接雇用に誘導するよう厚生労働省に働きかけていくことなどを表明した。
シンポジウムでは、初めにコーディネータの中野さんが、労働者派遣法の改正点について解説。あらためて、改正のポイントを整理した。その後は、まず関根さんが日雇い派遣禁止について、従来通りと答える派遣会社もあるが、「日々紹介」(毎日、有料職業紹介を行うとする取扱い)に移行するなどの問題点があると指摘した。
中嶋さんは、いよぎんスタッフ事件に際して全国ユニオンが行ったILOに対する申し立てについて、日本政府に対して本年中の報告の提出を求めたこと、勧告事項について条約勧告適用専門委員会にフォローアップを委任したこと、は大変意義が大きいと説明した。
毛塚さんは、世界最大の金属産別の労働組合であるドイツのGIメタルが今年5月に派遣労働者の受け入れと、賃金について業界団体と労働協約を結んだことを報告。有期労働者や派遣労働者の問題に対して、企業内の正規労働者がどう取り組んでいくかが重要と指摘。ドイツの事例は日本でも派遣先の企業内組合が派遣労働者の投入や労働条件の確保に関わる必要性を示している、などと語った。
会場発言では、東京ユニオンで派遣先への直接雇用を求める闘いを開始した仲間も現状を報告。「骨抜き」などといわれる労働者派遣法だが、その実効性を確保し、次のステップである登録型派遣の禁止につなげていくことの必要性をあらためて感じたシンポジウムとなった。 (関口)