派遣労働ネットワークが厚生労働省記者クラブで記者会見(連合通信)
派遣労働ネットワークでは、9月9日(火)に厚生労働省記者クラブで記者会見を行いました。
当日の様子を『連合通信』(東京都港区)の記事から引用してご紹介します。
厚労省の「たたき台」を批判
NPO派遣労働ネット 派遣法改正の骨子案
派遣労働者の地位向上に取り組むNPO派遣労働ネットワーク(中野麻美理事長)は9月9日、労働者派遣法改正の骨子案となる厚生労働省の「たたき台」について、「小手先の見せかけ」と批判する意見書を舛添要一厚労相に提出した。
同相の諮問機関である労働政策審議会労働力需給制度部会は、有識者による報告を受けて8月に審議を再開。厚労省は同部会に改正論議を方向づける「たたき台」を提示している。日雇い派遣への規制、常用型派遣への転換促進などが柱とされる。
これに対し意見書は、登録型への規制、日雇い派遣の禁止措置、違法派遣への制裁措置がいずれも不十分であるとし、制度の根幹を揺るがしかねない規制緩和も含まれていると指摘。「規制の方向にかじを切ったかのようであるが、小手先の見せかけに過ぎない」と批判している。
提出後の会見で、中野理事長は「日雇い派遣禁止の名に値しない」ときびしく批判した。「たたき台」は「30日以内の期間を定めての雇用する労働者」の派遣を原則禁止しているが、派遣契約への規制はなく、雇用契約を30日超としたうえで派遣先を日替わりで変える、事実上の「日雇い派遣」を可能にする抜け道があると指摘した。
日雇い派遣は日替わりで職場が変わるため、安全衛生についての使用者の配慮がおろそかになり、労働災害の多発が問題になっている。こうした弊害が改善されない、同理事長は警告している。
「みなし規定」が重要
「たたき台」は登録型から常用型への転換を進めるための施策を、派遣元に求めている。意見書はこれらを努力義務にとどめるのではなく、「常用型が原則」と明記するよう要望しているほか、有期雇用契約を長期間反復更新する登録型派遣労働者の雇用を、期間の定めのない雇用とみなす法的措置が必要と述べている。
また、期間の定めのない雇用契約で働く派遣労働者の事前面接を解禁することについて、意見書は「買いたたきと差別が横行することは常用型でも同様」とし、制度の根幹を否定する規制緩和であると指摘した。
偽装請負など違法派遣への制裁措置で、意見書は一定の規制強化を評価しつつ、派遣先が派遣労働者を雇用しているとする「みなし」規定とすべき、と主張した。
中野理事長は「みなし雇用規定は(違法派遣根絶の)最大のテーマ。告発した労働者の雇用が宙に浮いてしまっては、違法派遣が社会に沈殿する。たたき台は派遣先の責任を免罪している」と述べている。