02 9月

派遣労働者の労災責任は派遣元?派遣先?

「今後の労働者派遣制度の在り肩に関する研究会」報告書の「3 個別の制度のあり肩について」「(2)派遣元・派遣先の責任分担の在り方について」では、以下のように記述されています。

労働者派遣制度については、労働者の保護に欠けることのないよう、派遣元事業主が雇用者として責任を負うことを前提としている。しかしながら、実際には、派遣中の労働者の就業に関しては、派遣先が責任を負わなければ、労働者の保護が確保できない事項もあることから、労働基準法等の法律の適用についての特例が設けられ、必要に応じ、派遣先が、又は派遣元事業主と派遣先がともに、責任を負うこととなっている。
派遣元・派遣先の責任分担の在り方については、派遣元事業主のみを雇用者としての責任主体とすることなく、派遣先についても使用者として位置付け、連帯責任を課すことで、労働者にとっての最終的な責任が確保され、また、良質な派遣元事業主が選ばれるようになるとの効果は期待できるのではないか、との意見や、派遣元事業主のみが雇用者として雇用者責任を負うことを前提とした制度の下では、そのような位置付けは難しいとの意見、かえって、責任分担があいまいになり、労働者の保護につながらない、との意見があった。
また、本研究会におけるヒアリングにおいては、労働災害もその多くは派遣先で生じることから、派遣先も労災補償の責任を一部負うべきではないかとの意見があった。
災害補償の責任については、派遣元事業主は、派遣労働者の雇用者として労働災害を発生させるような派遣先の業務に派遣した責任があり、災害補償の責任を派遣先に負わせることは適当ではない。しかしながら、派遣労働者の安全衛生の確保のために必要な措置のうち、危険防止のために事業者が講ずべき措置など派遣先に責任を負わせることが適切な事項については、派遣先に義務が課せられており、それを遵守する義務は派遣先にあり、派遣先がこれらに違反する等、故意又は重大な過失によって労働災害を生じさせた場合であっても、現行の労災保険制度においては、被災者の保険給付に係る費用を派遣先から徴収できない点について、上述のような派遣先の法律上の災害防止責任が反映されるよう見直しを行うことを検討すべきである。

これを受け、現在、レポートを掲載している労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会で、派遣労働者の労災保険のあり方、具体的には派遣先の責任のあり方について、議論が始められています。このほど、先日開催された同部会の資料が厚生労働省よりアップされていましたので、ご紹介します。興味のある方は是非、ご覧ください。

[第31回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(資料)]

(労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会 提出資料より)